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離断性骨軟骨炎

離断性骨軟骨炎(りだんせいこつなんこつえん)


 

【どんな障害?】

外側に発症する野球肘の代表が離断性骨軟骨炎です。

野球肘全体別の中で、最も予後の悪いことから「野球肘のがん」とも言われています。上腕骨の骨端核に栄養を運ぶ血流が途絶え、骨が死んでしまうことにより発症する疾患です。自覚症状が出た時はすでに病状が進行しています。

離断性骨軟骨炎は成長期のこども(小学4〜6年生)にしか起こりません。

また大きな特徴は他の野球肘と違い、投げすぎや投げ方の不良などのケガではなく、現在では原因不明の病気とされています。

病期別平均年齢では初期は平均11歳、中期は12歳、後期は14歳です。

早期発見例(初期)は80~90%の症例が保存治療で治癒します。中期では約半数の症例にしか修復が見られません。

治りきらなかった残りの10~20%の症例が手術適応です。

 

【進行期の分類と症状】

 

痛み 肘の状態 関節の状態 完治率

初期
(透亮期)

なし 症状がない 軟骨下骨が壊死

90%

中期
(分離期)

あり 曲げ伸ばしが制限される。
時々痛む
関節軟骨に亀裂
軟骨骨片が剥がれる。

40%

後期
(遊離期)

あり 関節症の変化が生じる
日常生活で支障がおこる。
骨軟骨骨片が剥がれる。
遊離体が関節内に入り込む。

ほぼ0%

【原因】

確立された原因は不明です。

投げ過ぎや、投げ方で発症するわけではないと言われおり、タバコの煙や遺伝的要素もあると言われています。

 

【治療法】

発見された場合即投球中止です。患部の絶対安静が唯一の治療法です。

進行している症例は手術療法になります。

保存療法の場合、投球中止にしてもすべての症例が修復するわけではありません。病期が早いほど修復しやすい傾向にあります。状態により変わりますが、初期でも3~6か月ほど投球禁止になります。投球開始は医師の指示に従ってください。投球禁止期間は日常生活でも患部への負荷は避け、患部外のストレッチ、筋力強化、バランスエクササイズを行います。

 

【対策】

超音波検査機(エコー)による予防検診。年2回の検診が推奨されております。

肘の外側に痛みや違和感があれば様子を見ずに専門医療機関を受診しましょう。

 

禁止により腫れや痛みが軽減して自己判断でプレーを再開すると症状を悪化させる原因にもなるので、指導者や家族の十分な理解が必要になってきます。
当院でも多くの野球肘で来院してくる方を診てきました、大好きな野球を長期間休むことを余儀なくされている子供を見ると、自分も大好きな野球をやってきた一人として、少しでも治療期間を短くできるよう早期発見し、大好きな野球を長く続けられる手助けができればと思い書かせて頂きました。
ひと昔前と違い、野球肘についての医学的な理解が進んでいます。
大人の勝手な解釈で、子供の夢を潰すことのないよう、これからも予防活動に勤めて参りたいと思います。

 

 

参考:標準整形外科学
横浜市青葉区少年野球連盟肩肘検診ハンドブック

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