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足関節内反捻挫①

◆概要
足関節捻挫は全スポーツ外傷の13%を占めるといわれています。
一般的に捻挫という安易な考え方から、初期治療としてアイシングと軽い固定、2~3週間くらいで痛みがなくなれば、スポーツ活動に復帰させる…
その結果、何度も捻挫を繰り返したり、腫れや痛みが慢性化してしまう患者様が非常に多いのが現実です。

足関節捻挫における外側靱帯損傷では、解剖学的に前距腓靱帯と踵腓靱帯が重要視されており、この2本の靱帯はお互いの位置関係が90~100°になっています。前距腓靭帯は、前後の安定機構ですが、底屈位では下方を向き、本来前後方向を守る靱帯が,外側を守らなければいけなくなります。前距腓靭帯は幅が広く、薄い関節包内靱帯で、足関節捻挫でまず損傷されるのがこの靱帯なのです。

◆要因

急性捻挫を引き起こす要因として以下の要因が考えられます。
1.構造的に捻挫を引き起こし易い
2.脛骨の内反度が高い
3.病変によるものではない,距骨の傾き
4.機能的に捻挫を引き起こし易い
5.姿勢のコントロールの精度が乏しい
6.固有受容機能の低下
7.内反-外反,背屈-底屈の筋力バランスが悪い

◆評価法

我々柔道整復師は、レントゲン写真を撮影する事ができないため、患部の触診と徒手検査による評価を行なっていきます。
ATFL:前距腓靭帯、CFL:踵腓靭帯、AITFL:前下脛腓靱帯

 

 

 

 

 

 

 

軽症: ATFLに圧痛(+) 、CFLに圧痛(-)
中症: ATFLに圧痛(+) 、CFLに圧痛(+)、三角靱帯もしくはAITFLに圧痛(-)
重症: ATFLに圧痛(+)、CFLに圧痛(+)、三角靱帯もしくはAITFLに圧痛(+)、
足関節内旋テスト(-)
最重傷: ATFLに圧痛(+)、CFLに圧痛(+)、三角もしくはAITFLに圧痛(+)、足関節内旋テスト(+)

 

この様に触診と徒手検査を行った上に、超音波画像観察装置を用いて患部を診ていく事で、状態をより正確に把握する事ができます。

 

 

 

 

 

 

 

こちらは正常な前距腓靱帯の像になります。
腓骨から距骨にかけて綺麗なフィブリラルパターンが見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは損傷した前距腓靱帯の像になります。
フィブリラルパターンが破綻していて、血腫を認めます。

 

◆評価後の処置

評価をした後に下腿を固定し、距腿関節を伸展して内外旋すると、距腿関節に不安定性が認められるものには徒手整復を行っていきます。徒手整復を行わないと、靱帯が修復しにくくなり、その上、慢性足関節不安定症に移行しやすくなります。

アライメント不正を修正して、それから固定に入って行きます。
包帯、湿布、サポーターなどで簡易的につけておくだけでは、修復機能を最大限に引き出すことは難しく、距骨の安定する角度、靱帯が修復しやすい角度に調整してしっかりとした固定をしていく事が大切です。

治療メニューの構築、治療方法、リハビリ方法は次の記事で紹介して行きたいと思います。

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